甲斐駒ヶ岳登山(南アルプス)と様子を思い出しながら、当時の山行を振り返ります。
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南アルプス連峰の北端に位置する甲斐駒ヶ岳は、2,967メートルの単独峰で、本邦第24位の標高を誇ります。
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今日中に帰宅するためには、北沢峠からのバスに間に合う必要があるため、山頂であまりのんびりもしていられない。早めに下山を開始した。あの滑りやすい急斜面を下り、2メートルの恐怖のトラバースを通過しなければならないと思うと、ちょっと怖い。ちょうど、ベランダの外枠側に張り付いて、2メートルほどカニ歩きをする感覚だった。しかしここはベランダではない。股間から500メートル下の仙水峠が見えるような状況の場所だ。いよいよその場所が迫ってくる、『ついに来た〜〜』。ここさえ無事に通過できれば、安全な下山は保証されたも同然とさえ思える恐怖だった。そして無事に通過。ここから駒津峰まで来た道を戻る。
駒津峰に到着、振り返れば、さっき出発した甲斐駒ヶ岳山頂が白く優美にそびえている。左に下れば仙水峠で、もと来た道を戻るわけだが、下山ではここを直進し、双児山を経由して北沢峠へ直接戻るコースのほうが早い。2時間〜2時間半で戻れるだろう。駒津峰からの下りは爽快な景色だった。木々はまだないが、足元は緑に覆われており、これから下るべきはるか下方が大きく見渡せる。歩きやすい下り道だったので、あっという間に森林限界の中へ吸い込まれていった。
双児山に到着した。ここをさらに直進し、尾根をつたって北沢峠まで一気に標高を下げることになる。この辺りの稜線は、昨日宿泊した、仙水小屋から大きく見上げた稜線だった。反対側からは、同じく昨日、バスから見た壮大な稜線で、その壮大な景色の中心を歩いていることになる。北沢峠への下りは、徐々に角度を増してきた。足が疲れてくる。いつも下山は長く感じる。まだか、まだか、と。非常に長く感じた最後の行程だが、後に集計したところ、双子山から北沢峠への標高差613メートルを、わずか80分で駆け下りていた。ものすごい下り方だったことがわかった。それなら足がガクガクになり、長く感じるのも無理はない。北沢峠では臨時バスも運行され、乗り遅れを心配する必要はなかったようだ。
これは地元の人から聞いた話だが、以下のことがわかった。甲斐駒ヶ岳の今回たどったコースには、緩やかな登り、急登、稜線歩き、岩場などの要素がそれぞれわりと本格的なレベルで存在しており、この山を標準的に往復できる体力と技術があれば、一部の難関を除けば、日本全国の夏山なら、問題なく登山できるだろうと言われている、との事だった。なるほど確かに、この短い2日間に凝縮された内容は濃かったように思う。この山への登頂がひとつの自信になり、その後の登山ライフへとつながっていったのだった。